【リハスタッフインタビュー】リハビリチーム活動について
桜十字八代リハビリテーション病院リハビリテーション部では、院内の多職種チームとは別に、部内で専門チームを編成しています。希望するスタッフが所属し、活動を通して専門性を高めています。
今回は、それぞれの取り組みについて各部門チームリーダーにインタビューしました。
■運動器リハチーム

–チームのメンバー構成を教えてください。
理学療法士/主任 金津 篤志 さん(以下、金津) 理学療法士15人で活動しています。
–いつ活動をスタートしたのですか?
金津 2021年4月に発足して、5年目です。
チームが発⾜した当初は、メンバーそれぞれが描く理想や⽬標に違いがあり、ミーティングのたびに意⾒がぶつかることも少なくありませんでした。しかし、互いに本⾳で語り合い、何度も対話を重ねる中で、少しずつ共通の⽬標を⾒出し、役割や取り組みの⽅向性を調整してきました。そのような積み重ねの中で、今の⼀体感のあるチーム体制が築かれたと感じています。多様な視点を尊重しながらも、患者さまにとってより質の⾼いリハビリテーションを提供するために、これからも協働していきます。
–活動内容について教えてください。
金津 ⽇々の臨床業務において、運動期リハビリテーションに関する専⾨的な視点からスタッフへの助⾔や指導を⾏っています。私たちのチームでは、以下の3つの柱を中⼼に活動を展開しています。
1.勉強会の開催
「アウトプットこそ最⼤の学び」をモットーに、運動器疾患に関する勉強会を年間を通じて実施しています。毎年内容を⾒直し、常に最新の知⾒を取り⼊れているため、継続的な学びが可能です。
2.画像読影の実施
運動器疾患の患者さまの画像(X線やMRIなど)をチームで読影し、機能障害の予測やリスク管理を⾏っています。これにより、より適切で質の⾼いリハビリテーションの提供を⽬指しています。
3.若⼿スタッフの主体的な研鑽活動
今年度からは、⼊職1〜3年⽬の若⼿スタッフが中⼼となり、症例検討会や実技練習会を開催しています。臨床での悩みを共有・解決しながら、勉強会での実技アシスタントも務めるなど、主体的に学びを深める機会を設けています。

熊本総合病院との合同勉強会
当院では、腱板断裂術後の患者さまに対するリハビリテーションを円滑に進めるため、急性期病院との合同勉強会を開催しています。急性期から外来リハビリテーションへの移⾏をスムーズにし、治療をシームレスに継続できるよう、双⽅の医療スタッフが情報を共有し連携 を深めています。今年度からは、新たに⼈⼯膝関節置換術(TKA)後の患者さまに対する合同勉強会も開始する予定です。術前後の評価、合併症予防、リハビリテーションプログラムの構築など、より質の⾼いケアを提供するために、急性期と回復期の連携体制を強化していきます。
–チーム活動するメリットは何ですか?
金津 先輩・後輩といった⽴場に関係なく意⾒を交わし、協⼒して取り組む中で、スタッフ同⼠の信頼関係やチームワークも⾃然と深まっていきます。最⼤のメリットは、それぞれのメンバーが専⾨分野の知識や技術を持ち寄ることで、個⼈では成し得ないより質の⾼いリハビリテーションを実現できる点にあります。さらに、当院では運動器チームだけでなく5つの専⾨チームが連携して活動しており、それぞれの強みを活かすことで、リハビリテーション 部全体としてより質の⾼い医療提供を⾏うことができます。
-今後の目標を教えてください!
金津 運動器チームは、「チームに関わるすべての⼈のために」という理念を⼤切にしながら活動を続けています。これはチームメンバー同⼠にとどまらず、患者さま、リハビリテーション部全体、さらには病院全体への貢献を意識した想いです。今後は、運動器チームとしての専⾨性をさらに深めるとともに、その知識や技術をリハビリ テーション部全体に還元し、組織全体で患者さまにより質の⾼いリハビリを提供できるよう、⽇々の臨床や学びを通して、⼀⼈ひとりが成⻑し続けられる環境づくりを⽬指し、研鑽を重ねていきたいです。
■脳血管リハチーム

–チームのメンバー構成を教えてください。
理学療法士 藤田 拓也 さん(以下、藤田) 脳血管チームは理学療法士14名、作業療法士4名、言語聴覚士1名の計19名で活動しています。
–いつ活動をスタートしたのですか?
藤田 2021年4月に発足して、5年目です。
脳血管チームが発足する前はブレース(装具)チームとして、理学療法士を中心に身体機能面へのアプローチを中心に活動をしていました。しかし、実際の臨床の中で高次脳機能障害に対する支援の必要性を実感し、対応の幅を広げる必要が出てきました。そのため、作業療法士や言語聴覚士がチームに加わり、チーム体制を徐々に拡充してきました。現在では、身体面・高次脳機能の両方から多角的に支援できる、より専門的なチームへと発展したと感じています。これからも患者さまに質の高いリハビリテーションを提供できるように尽力していきます。
–活動内容について教えてください。
藤田 脳血管チームでは「当院の脳卒中リハビリテーションの質の向上を目指す」、「地域や院外に向けた活動や発信を行う」を活動目標に挙げ、以下の取り組みを行っています。
〇画像読影
脳血管疾患の患者さまのMRIやCT画像を確認し、予後予測やリスク管理に活かしています。
〇症例検討会・勉強会
定期的に症例検討会や勉強会を行い、知識の共有とチーム内・外の専門性向上を図っています。また昨年度は急性期病院との合同勉強会を開催し、院外への発信を行いました。
〇フォローアップ
難渋している患者さまの機能面や退院後の生活を考慮し、継続的な経過観察や支援を行っています。
〇装具回診
医師、脳血管チームメンバー、義肢装具士と合同で病棟を回診し、装具の適合や使用状況の確認・調整をしています

–チーム活動するメリットは何ですか?
藤田 さまざまなメリットがあると思いますが、縦の関係を通じて専門的な知識や技術、経験を学ぶことができます。また、脳血管チームは3職種からなるため、チーム内で意見を出し合うことで脳血管疾患の患者さまへの対応の幅が広がりより質の高いリハビリテーションを提供することができます。そして分からないことがあればチームに確認するといった、精神的にも支え合える環境があるのは、大きなメリットだと感じています。
–今後の目標を教えてください!
藤田 これまで私たちは、症例検討会や院内での勉強会などを積極的に行ってきました。そうした積み重ねにより、チームとしての力も徐々についてきたと思います。今後は学んだことや実践してきた取り組み、成果を院外の学会や地域連携の場で発信し、他の施設や職種との交流を通して、さらに成長できるチームを目指していきたいと考えています。
■心大血管リハチーム

–チームのメンバー構成を教えてください。
理学療法士 田原 翔太 さん(以下、田原) 理学療法士8名で構成されています。心臓リハビリは障害者施設等一般病棟でのみ実施可能ですが、回復期リハビリテーション病棟にも心リハチームメンバーがいます。
障害者施設等一般病棟の心リハチームメンバーは実際に心臓リハビリとして患者さまに治療介入をしています。若手スタッフも多く、今年加入した新メンバーはお互いに刺激し合っており、研究に取り組むスタッフもいます。回復期のメンバーは、回復期で心疾患の既往がある患者さんの経過観察や情報共有などをしてくれています。
–いつ活動をスタートしたのですか?
田原 2021年6月に心臓リハビリが開始され、同じタイミングで心リハチームも発足しました。勉強会や患者さんの悩みを解決していく中で心臓リハビリに興味を持つセラピストが増加し、今の形になりました。
–活動内容について教えてください。
田原 毎年目標を設定し活動しており、今年度の目標は「チームメンバーの知識・技術の底上げ」です。それを達成するために勉強会や症例検討会、抄読会などを行っています。また心臓リハビリには欠かせない心肺運動負荷試験(CPX)の成熟度向上も必要だと考え、デモプレイなどを行い日々精進しています。

–チーム活動するメリットは何ですか?
田原 お互いに切磋琢磨しあえる所です。2年前ですが日本不整脈心電学会が開催している心電図検定に挑戦しました。当時の私たちには難しい試験でしたがメンバーで協力し、勉強し続けた結果、3人が合格しました。このように互いに高め合えることができるのがいちばんのメリットだと考えます。
–今後の目標を教えてください!
田原 私たちは県南で1番の心リハチームを目指しています。そのためにも今後もチーム力の底上げや他院の心臓リハビリに関与している方とも交流を持ち視野を広げていきたいと思います。
■摂食嚥下リハチーム

–チームのメンバー構成を教えてください。
言語聴覚士 坂田 海翔 さん(以下、坂田) 現在、活動中のメンバーは言語聴覚士8名、理学療法士1名、作業療法士1名の合計10名で第2、第4火曜日の月2回活動をしています。
チームリーダーは、チームの活動目標に向けて活動内容の舵取りや軌道修正を行っています。チーム内の言語聴覚士は、摂食嚥下領域の情報、知識、技術を多職種に詳しく伝達することを担っています。また、理学療法士は、全身の身体機能面から、食事姿勢に対する知識や技術の伝達、作業療法士は上肢、手指巧緻動作や高次脳機能といった面から、上肢運動や食具の操作に対する知識や技術の伝達を担っています。
–いつ活動をスタートしたのですか?
坂田 2024年の4月にチームが発足し、活動を開始しました。
食事は楽しみの一つでもあり、私は、学生時代より摂食嚥下領域に興味を持っていました。当院に入職して、「口から食べられる」ようになった摂食嚥下障害の症例を経験しました。その時の患者さま・ご家族の言葉や表情が忘れられず、当院でも「口から食べられる」ようになった患者さまを増やしたいという思いで摂食嚥下リハビリテーションチームを発足しました。発足後は、チームメンバーの土台作りとして勉強会や症例 検討を行っています。
–活動内容について教えてください。
坂田 現在、主に3本の活動を行っています。
①知識の底上げや考察する場として症例検討を実施しています。
②当院全体の摂食嚥下領域の認識を上げるために、リハビリテーション部全体に勉強会を実施しています。まずは、興味を持ってもらうために、摂食嚥下の幅広い内容を伝達していく予定です。
③摂食嚥下障害を有する患者さまに対してチームの理学療法士、作業療法士が嚥下リハビリに介入をしていく取り組みを行っています。今後は、非経口摂取の患者さまに対しても幅広く介入できるように取り組みを広げていく予定です。

–チーム活動するメリットは何ですか?
坂田 言語聴覚士のみではなく、理学療法士、作業療法士が参加している点です。身体機能、上肢機能、高次脳機能、嚥下機能をより多角的に捉えることができ、さまざまなディスカッションを行うことが可 能となりました。また、食事はリハビリを行う上で機能改善の重要な因子となります。摂食嚥下チームという相談できる場が常にあることで、患者さまの機能改善に貢献していけるという点がチームの存在するメリットだと考えます。
–今後の目標を教えてください!
坂田 発足してまだ1年ですが、「嚥下のことなら桜十字八代リハビリテーシ ョン病院」というような声をいただけるように、まずは、当院スタッフの摂食嚥下の認識や知識の共有、伝達を行っていきたいです。また、摂食嚥下リハビリテーションチームとしてマチに出て行き、講演会や講習会を幼稚園・小学生から高齢者などさまざまな年代の方に実施していきたいです。
■認知症リハチーム

–チームのメンバー構成を教えてください。
作業療法士/主任 今村 裕介 さん(以下、今村) 理学療法士2名、作業療法士5名の計7名で活動しています。
–いつ活動をスタートしたのですか?
今村 2023年4月に発足して、3年目です。
現在の日本で、65歳以上の認知症の人数は約600万人、約4人に1人が認知症と診断されています。いまだに人数は増加傾向であり、医療の現場でも多くいらっしゃいます。そのような方々に対し、認知症に対する知識の向上と対応方法の習得、家族やスタッフに対しての説明や対応策の検討を行うことができ、対策を実行できる力を身に着けたい、身に着けて欲しいと思い、チームの立ち上げを行いました。
活動を通して、訓練場面などにおける対応力の強化を図り、質の高い医療を提供できるようになる人材、危険予知能力の向上を図り、自ら率先して行動できる人材の育成を行えていければと考えています。
チームが発足した当初は、各メンバーが認知症に対する知見に差があり、対応方法の意見も異なることがあったり、活動に対して消極的な部分がありました。チーム内で勉強会や症例検討会を開催し、何度も意見交換を行ううちに、方向性が定まり、積極的に活動できるようになったと思います。今後も、認知症の患者さまを尊重し、その方らしさを引き出せるようなアプローチを行い、質の高いリハビリテーションを提供していきたいと考えています。
-活動内容について教えてください。
今村 チームミーティングを月に2回実施しています。その中で、認知症患者さまへの机上課題プログラム資料の提供や運動療法(「いきいき!桜 is」と題した簡単な体操)の作成を行っています。 また、各ミーティングの後に勉強会(認知症の概論や対応方法など)や症例検討を実施しています。

–チーム活動するメリットは何ですか?
今村 最大のメリットは、個々のスキルアップができることだと思います。臨床の現場でも重度の認知症の患者さまがいらっしゃったのですが、本人の残存機能を引き出すような効果的なリハビリテーションを提供し、ご家族やスタッフ双方に対し負担の少ない介助方法の指導を提案・指導することにより、ご家族の不断のケアに安心感や自信を持ってもらうことができ、自宅退院につなげることができたという事例もあります。認知症に対する検討ができる事により、より良い医療・福祉サービスの提供ができるようになると考えます。使用できる福祉サービス等の勉強会も行っているので、退院後の生活をイメージして多職種とシームレスで包括的な情報提供が可能となっています。
–今後の目標を教えてください!
今村 現在の認知症チームでは、チーム内でのメンバーの研鑽に尽力してきました。十分に勉強会や症例検討を通し、研鑽することができたと考えています。これからは「アウトプット」をテーマとして、チームメンバー以外への情報発信に努めていきたいと考えています。
さらに、認知症やMCIが増加傾向であるため、院内だけでなく八代地域への貢献もしていきたいと考えています。認知症によるさまざまな問題に対して、より多くの対応策などの発信を行っていくために、認知症に対する正しい理解や知識を深め、認知症の患者さまやそのご家族も含めてサポートできるようなスタッフ育成を行っていきたいです。
