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INTERVIEW

インタビュー

【NSTスタッフ/管理栄養士インタビュー】足元の活動を通して、「病院にとってなくてはならないチーム」としてNSTの認知度を高めていきたい

食事は、生命維持のために重要ですが、単なる栄養補給ではありません。人間としての豊かさを支える営みであり、患者さまにとっては治療成果を左右する重要な要素でもあります。特にリハビリにおいて、栄養はリハビリと両輪と言われるほどインパクトがあります。そんな背景から、2025年、桜十字八代リハビリテーション病院では栄養サポートチーム(NST)が発足しました。管理栄養士(NST専門療法士)の前田朋子さんに、スタートしたばかりのNSTの活動について聞いてみました。

インタビューに答えてくれた人

管理栄養士(NST専門療法士) 前田 朋子 さん

インタビュー実施日

2025年10月

-NSTの重要性とは?

前田 「医食同源」という言葉のとおり、食事は人間の健康をかたちづくる重要な要素です。入院中の栄養状態の維持・改善は病院機能のひとつであり、診療報酬においても2010年から「栄養サポートチーム加算」が新設されました。NSTは医療の一端を担うものとして認知されており、かねてより当院でも栄養管理は重要視されていました。

NSTの目的は、患者さまの栄養状態を多職種で正確に把握して課題共有を行い、その課題解決に向けてさまざまな専門職の視点で介入し、栄養状態の維持改善および疾病治癒につなげることです。

当院に入院する患者様の多くは高齢者で、お一人おひとりの患者さまが抱える栄養課題は多種多様です。そのため一口に「栄養管理」と言っても、口から食べる「食事」だけではなく、経管栄養や静脈栄養など多岐にわたります。NSTの介入の形も、一つとして同じパターンはありません。さまざまな形の介入において、多職種の専門知識を融合させ、患者さまに応じた適切な栄養療法を選択・実施するため、NSTは大きな役割を果たしています。

メンバー構成について教えてください。

前田 医師、各病棟の看護師、薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士で構成されています。主構成としては医師、看護師、薬剤師、管理栄養士の4職種ですが、「食べる」リハビリに欠かせない言語聴覚士がチームにいるのが特徴です。STの役割は委員会規定でしっかり定められており、①摂食・嚥下機能評価と訓練の実施、②嚥下内視鏡(VE)・嚥下造営(VF)の実施と検査結果に基づくアドバイス、③口腔ケアの指導、④耐久性や筋力などの把握・報告他、さまざまな役割を果たしています。

活動内容を教えてください。

前田 障害者施設等一般病棟では毎月1回のNSTラウンド、回復期リハビリテーション病棟では毎週1回の栄養障害カンファレンスを開催して栄養管理の適切性のチェックや栄養評価、問題症例の抽出を行っており、治療に介入しています。また、毎月1回の委員会と、月2回の勉強会を実施しています。低栄養状態を評価する指標の一つであるGLIM基準に該当した低栄養患者さんを対象に多職種で検討しています。

どのような患者さんに介入していますか?

前田 介入対象は、スクリーニングシートによって抽出します。看護師が中心となって依頼理由を記載し、該当患者さんを共有フォルダにアップロードします。栄養状態に問題のある方や、GLIM基準に該当する方を対象に、週1回または月1回のカンファレンスで対応を検討します。

カンファレンスではどのようなことを話し合っていますか?

前田 まず「なぜ栄養状態に問題があるのか」という依頼理由・問題点を確認し、

    • 医師:治療方針の視点から
    • 看護師:日常生活・ケアの視点から
    • 管理栄養士:食事内容・摂取状況の視点から
    • 言語聴覚士やリハビリスタッフ:嚥下機能やADLの視点から

 

といったように、多職種で意見を出し合い解決策を導きます。

たとえば「食事量が不足している」場合には補食の追加を検討しますし、「部屋食で摂取が進まない」場合には、食堂で他の患者さんと一緒に食べることで刺激を受けて食欲を高めるといった対応をとることもあります。

栄養障害の具体的な課題にはどのようなものがありますか?

前田 多いのはアルブミン値等の低下、体重減少、嚥下障害です。「飲み込みの力が弱い」「水分でむせやすい」などの問題もあります。また、もともと食事を拒否する方や食事環境の影響を受けやすい方も少なくありません。こうしたケースでは、環境の調整や摂取形態の変更、言語聴覚士による嚥下評価など、個々の状態に合わせた介入を行います。

 -NST発足によって患者さまにはどんなメリットが生まれるのでしょうか?

前田 栄養状態の適正化により、治療効果の向上が見込まれ、さらに合併症や二次感染の予防にもつながります。治療効果の向上は、早期退院や医療費の削減にも関連してきます。入院中に十分な栄養状態まで回復することで、退院後のQOLの充実や再入院の予防も期待できます。

NSTはチーム医療なので、活動を通して各々の業務に対する理解が深まり、多職種間で顔の見える関係が形づくられることで、医療の質の向上につながると考えます。

今後の展望を教えてください

前田 日本栄養治療学会(JSPEN)によりNST稼働施設として認定を受けたいと考えています。認定を受けるためにはさまざまな要件を満たさなくてはなりません。毎週10件以上の栄養評価の実施や週1回以上の病棟回診の実施、NST対象例への介入、症例検討会の実施も要求されるため、活動量の拡大も求められます。

職種間で切磋琢磨し、チームの士気を向上させるとともに、スタッフの資格取得や病院全体の栄養管理レベルの向上も目指していきたいです。

患者さまの栄養状態の維持、改善、疾病改善、早期退院などに関わる「病院にとってなくてはならないチーム」として、スタッフをはじめ、患者さま、ご家族など多くの人に認知されるよう活動していきます!

 

 

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